県内でも地震による液状化被害の大きかった地域にその昔、お世話になった方のお家があります。
1月2日にニュースを見てから「どうしたものか」とずっとやきもきしていました。
ニュースは度々その地域の様子を伝えるのですが、なんと地元ニュースでインタビューを受けられているではないですか・・・!?
たまたま気づいたのが実母。「〇〇さんってあの〇〇さんじゃない?」と連絡をくれました。ニュースを確認すると紛れもなく〇〇さん!だって声がそのまんまなんだもん。昔の記憶が鮮明に呼び起こされ、居ても立っても居られず。
年賀状のつながりがあったから電話番号も分かり、思い切って電話しました。
「〇〇さんのお宅ですか?△△市のもこもこです。ニュースで見て電話しました!」すぐに私だと気づいてくれました。「えー!もこもこちゃん。本当もう日に日に家が傾いていくのが分かってね~・・・」
一目会いたい。きちんと顔を見て話したい。在宅されている時間にお邪魔させていただく約束をしました。
〇〇さんご夫婦は70代半ば。お2人で暮らされています。
お宅に着くとまず、玄関ドアがずれてきれいに閉まらず、ビニルで覆われています。
〇〇さんのだんなさんが「もこもこちゃん、入ってかれ~。」と30年ぶりなのに、全く以前と変わらず穏やかな笑顔で迎えて下さいました。「ここ危ないから気を付けて」と、ひび割れた土間部分や下がってしまっている段差を避けて通るように声をかけ、ご自身は愛犬のお散歩にでかけられました。女性同士の会話の時間をくださったんでしょう。
〇〇さんは昔とおんなじで元気いっぱい、ニコニコとした笑顔で迎えてくれました。「寒かったやろ、車、道大丈夫だった?」こんな時でも私の心配をしてくれている・・
道の至るところにポールが置かれ、明るい時間じゃないと運転が危険な感じでした。
道すがら、斜めになっている電柱、あきらかにひどくひしゃげているお家もあり・・。町内は、建物の被害状況で緑・黄色・赤の紙が貼られ、危険度レベルの判定がされていました。〇〇さん宅は赤。
「どんどん傾いているのが分かってね・・ひびも最初はこんなに大きくなかった。どんどん大きくなってる」両隣のお家の方々はもう離れていかれて空き家になっているそうです。
「本当もうなかなか片付かなくて。子供達が頑張ってくれているんだけど」
聞けば、お子さん家族が近くにおられ、同じ地域でも被害の少なかった場所にお家を見つけて引っ越す段取りになっているとのことでした。
温かいコーヒーとお菓子を出してくださった時、お見舞をお渡ししました。
〇〇さんは驚いて受取れないとお断りされましたが、「本当に私の気持ちだけ、私の想いだと思って受け取って欲しくて」と半ば無理やり受け取ってもらいました。〇〇さんはぽろぽろと大粒の涙を流され、私の手をぎゅっとにぎり、「ありがとう。」と何度も言われ、仏壇にお供えされていました。
地震直後の様子、津波が来るからと逃げた話、液状化になった様子、市から家の被害状況確認に来た話&また来る話、ありとあらゆる話を聞き、夫婦そろって今も元気にパートの仕事をしているお話、お子さんお孫さんの話、30年前の思い出話、今の私の話など濃縮な1時間。
30年ずっと会っていないのに、ついこの前まで会っていたかのような会話ができることにびっくりでした。〇〇さんのお人柄ゆえだなぁと感じました。辛くて悲しい時なのに、笑顔で話せるって・・・話すことによって、人に聞いてもらうことによって癒える痛みもあるのかな。
ほぼ聞き役でしたが、最後に「会いたい人に会えるうちに会うことにしている。会いたくない人には絶対に会いに行かんけど(笑)」とまるで半分愛の告白のようなことをし、ハグをされ、お返しハグをしてきました。
笑顔で手を振って「とにかく元気でいてね」と伝えて帰ってきました。
最初、お見舞いを郵送した方が良いの悩みました。そして電話で話すのでもいいかと思いました。でも会いに行ってよかった。顔を見てきちんと話を聞き、直接思いを伝えられて本当によかったです。
今日、この機会を逃したら一生会えなかったかもしれません。「会いにいってあげたら。きっと喜んでくれるよ。」との実家の母の言葉があったから行動に移せました。
思い切って行動して良かったです。心配が尽きない現状は変わらないけど、心は寄り添えた気がします。